小脳梗塞患者のリハビリ後の機能回復②

こんばんは。夢のまち訪問看護リハビリステーション 都賀の理学療法士の倉形です。

以下に書くことは、私の所属先などとは一切関係のない私の私見であり、文責は全て倉形個人にあります。

小脳梗塞患者のリハビリ後の機能回復に関して論文を読んでます。

 ①に関してはこちら。

P. J. Kelly, J. Stein et al: Functional Recovery After Rehabilitation for Cerebellar Stroke

Stroke 2001 Feb: 32(2):530-4

Pubmed でPDFをダウンロードできます。


 前回はアブストラクトをざくっと読みました。今日は、その先を読めるところまで読んで、書けるところまで書くというプランで書こうかと(つまりノープラン)


背景では、

著者達は、この研究の新規性に関して


 ① 数少ない小脳梗塞後患者の機能予後を調べた
  (従来の研究は生存率や日常生活が独立したか否かに関する報告が多かった)

 ② リハビリテーション病院の入院時から長い期間のフォローアップを行っている  (急性期病院の退院時やフォローアップ機関の短い研究が多かった。)


『だからこの研究は価値があるんだよ』と言ってます(あくまで彼らの主張です)

研究の目的に関しては、アブストラクトに加えて、小脳梗塞と出血に関して比較したいとのことです。

 →だから、アブストラクトでいきなり、梗塞と出血の比較が出たんだと合点が

  いきました。おそらく文字数の関係か何かで、この目的をアブストラクトに

  書くことができなかったんでしょう。。。


方法では、

 セッティングに関する情報がありました。Spaulding Rehabilitation病院というボストンに 

 ある病院で行われたとのことです。


 対象は、初発の小脳梗塞及び出血患者です。4年間にわたって基準に合致した入院患者を連

 続して後方視的に調べたとのことです。


 小脳梗塞や出血などの予後を調べるのには適しているデザインだと思います。ただし、こ 

 の研究の対象はあくまで『初発の』患者なので、再発例(脳卒中の既往があったりする

 患者が新たに小脳梗塞や出血を発症した)は、このデータが適応可能かは慎重に判断し

 ないといけないと思われます。


 対象の採用基準は、

  ① 初発の患者で入院リハの適応がある患者

  ② FIMの測定が可能な患者

 

 一方、除外基準は、

  ① 今回の発症以外の脳卒中やその他の神経疾患があるもの、

  ② 画像所見データのない患者

  ③ 入院リハビリ期間中に死亡した患者

 とのことです。これに関しては、しょうがないのかもしれませんが、このデータの解釈を

 難しくしてしまうと思いました。

 

 理由は・・・

 ①入院リハの適応がない初発の小脳梗塞・出血患者は除外されている。

   非常に機能が良くて、リハビリ病院でのリハは必要ない人、逆に機能が悪すぎて

   リハ病院でのリハの適応にならない人(いわゆる老人ホームにいくなど)の両方いる

   ことが予想されます。その割合がわからないと、このデータをどう判断するかが

   難しい(例えば、もしも90%の患者が急性期病院を退院する際にFIMが満点に

   なるなら、この研究は全患者の10%のみを深堀りしただけの研究になってしまう)

 ②死亡例は除外としてしまっている。

   死亡例は、当然、FIMスコアの平均値を押し下げる原因となるはず。なので、これを

   単純に省くべきかは少し疑問です。死亡例は、FIM 18点(最低点)とかで計算した方       

   がシンプルな気もする。


方法も終わらないうちに②が終わってしまった。このペースだと何回掛かってしまうんだろう。。。


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました

  理学療法士 倉形裕史

Evidence Based Physical Therapy - 理学療法士 倉形裕史のページ

キャリアゴールは『日本を含む全アジア地域で、全てのリハビリ対象者が適切な価格でエビデンスベースドのリハビリにアクセスできる社会を実現する』ことです。 ゴール達成のために、勉強したことをシェアしたり、同じような活動をしている方とコミュニケーションをとることを目的にサイトを作ってみました。 ゴールやそこまでの道のりが少しでも被る方は、是非一緒に何かやりましょう。

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