こんばんは。夢のまち訪問看護リハビリステーション 都賀の理学療法士の倉形です。
2013年にAAOS(米国整形外科学科学会)が出した膝関節症への治療に関するガイドラインを読んでみました。AAOSのホームページからPDFが無料でダウンロードできます。
前回の続きです。 このガイドラインでは、エクササイズの重要性が強調されています。
なので、エクササイズに関して少し詳しく書いて、次回にまとめを書いて終わりにします。
エクササイズに関して、詳しく記載されています。『ほ~、なるほど』と思う記載も多いです。
・ストレングストレーニングのタイプは長期的にみると差がない。
Isometricもisotonic もisokineticも長期的には差がないそうです。
・荷重下でも非荷重下のエクササイズもコントロール群と比較して身体機能改善において優れている ・荷重の有無のどちらが優れているかは結論が出ていない。
・高強度のレジスタンストレーニングは低強度と比較して不整地歩行の速度をより改善する。
高強度がどの程度か気になったので、引用文献を孫引きしたところ、運よく無料でみれたので
見てみました(Phys Ther. 2008 Apr;88(4):427-36. )。
高強度は1RMの60%、低強度は1RMの10%(エクササイズ量に差が出ない様に、
高強度は8回×3セット、低強度は15回×10セット行っています。)痛みの関係で1RMの80%以上は
困難だったとの記載があります。
・ヨガと理学療法の組み合わせは、理学療法単独よりもWOMACの機能、SF-36(
QOLの指標)の身体機能・疼痛の改善効果が大きい。
・水中でのエクササイズは陸上でのエクササイズの代用となりうる。
・有酸素運動(歩行)は、患者教育、通常ケアと比較して6分間歩行などで有意な
改善を認める。
・運動覚、バランス、ストレングスの要素からなるトレーニングは、
ストレングストレーニングと比較して有意な改善を認める。
・非荷重下固有受容器のトレーニング、非荷重下筋力トレーニングは、未治療群と比較して
WOMACの身体機能・疼痛で改善を認める。
・筋の収縮様式
・荷重するか?しないか?
・場所(陸上か水中) はあまり関係がないようです。
バランスや固有受容器などのトレーニングは疼痛改善効果が期待できるようです。
ここからは私見です。PTが囚われがちな歩き方とか、姿勢に関しての言及はないです
(もしかしたら固有受容器のトレーニングなどに姿勢の要素があるかも知れませんが・・・)。
現在の科学的根拠が支持するのは、
① 痛みの出ない範囲で高強度の筋トレをする
② 筋の収縮様式などはあまり差がないので、やりやすい方法を導入する
③ バランストレーニングの要素を取り入れる
④ 身体活動量を増やす
といったところでしょう。
一般的に行われている理学療法だったり、患者指導と少し趣が異なる気がします。安易に『無理に動かないで下さいね』といった活動量を下げるようなアドバイスは正しくないようです。
質の高い論文で作られたガイドラインですので、是非参考にしたいですね。
最後までお付き合い頂きありがとうございました
理学療法士 倉形裕史
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