またもや長いシリーズになってしまいすみません。
次に、メカニズムについて書きます。
私の立場は、『インソールによる変形予防や症状改善はプラセボ効果(期待することで思い込みによる症状改善)だと思う』です。なぜなら、一種類のインソールを靴に入れるだけで、あらゆる床面の素材や傾斜、歩行速度に関わらず症状が改善すると考えるのは無理があると思うからです。
症状を問診→動作(一般的に歩行)を目で見る→仮のインソールで変化をみる→微調整してもう一度試す。
症状だったり、歩行のフォームの変化を見て、また微調整を加えるということを繰り返します。
なんらかの素材を裏面に張り付けたりして、足の土踏まずの所がつぶれないように高くしたり、一部分を少しだけ厚くして高さを調整したりします。
その素材の厚さは、数mm程度です。1cmとかはない。
このように、平らなリノリウム性の床面で、快適な歩行速度で歩くことで調整されたインソールで日常生活全般での症状が改善・消失するというのは、やはり過度に楽観的なのではないかと思ってしまいます。
・一般道は水はけをよくするために傾斜がついています。
・裏に張り付けた素材は、へたってきてしまいます(劣化してきてしまう)
・朝と夕方では足のむくみ具合が違います。
・お子さんに処方されたとして、お子さんは日々体が成長します。
・人はその時の気分によって歩き方が変わります。(例:落ち込んでるとトボトボ歩く。。。)
・靴にインソールを装着したとして、靴の中で足が動きます。
・靴を履いて歩くのは舗装された道ばかりでなく、デコボコの道もあります
・街には上り坂も、下り坂もあります
・歩くときには他の通行人にぶつからないように避けるなどの配慮が必要です。
・他の人と一緒に歩く、障害物に躓かないようにするなど、外部環境に受動的に反応しなければいけないことがあります(インソールを調整した環境と違って、コースや速度は自分の思い通りに行かないこともあります)
・買い物など物を持って歩かないといけないことがあります。
このように、たくさんの要因が絡めば、数㎜程度の高さの変化はすぐに意味のないものになってしまうと私は考えます。
ただ、ここで勘違いしないで頂きたいのは、『私がどう考えるか?』は重要ではありません(「じゃあ、感想なんて書くなよ」と言われるとグーの音もでませんが・・・)。科学的に適切な方法で効果が証明されていれば、私の個人的見解などは無視されて、インソールは支持されるべきです。
科学的根拠という観点で見てみると、前回のブログに書いたように、やはりインソールを支持するに足る根拠は乏しいです。
科学的根拠も乏しく、メカニズム的にも疑問の残るインソールです。これを子供時代から使用すればなんらかの効用が期待できると考えるのはやはり無理があるのではないかと思います。
長くなりました。今日はこれで終わりです。
次回に、日本の保険制度に関して少し書きます。なんだか話が大きくなってきましたが、関係ある話なのでお付き合いください。
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
理学療法士 倉形裕史
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