おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
脊損患者への硬膜外電気刺激を用いた歩行再建に関する論文に関して書いています。
前回は、対象となった症例に関して詳しく書きました。
症例情報で書き忘れていたのは、対象者の年齢が研究開始時で23歳から32歳だったということです。
今日は、提供されたリハビリなどの方法に関して詳しく書きます。
方法
硬膜外電気刺激のデバイスを埋め込む前に、8から9週間、週5回で一回2時間の立位・歩行に関する集中的な標準的なリハビリを行ったそうです。このリハビリには、Body-weight supportと足の振出しの改善を目的とした徒手療法(ファシリテーション)が組み合わされたようです。 でも、運動や感覚の改善は認めなかったようです。傷害された部位より下位の筋肉に表面筋電図を用いて筋収縮の有無も調べていますが、筋電図も確認できなかったようです。
私見
硬膜外電気刺激の開始前にかなり濃密なリハビリを受けていますね。受傷後、長期間経過していることと、事前に手厚くリハビリを受けています。このことから、この研究にはコントロール群(何も介入していないグループ)はいませんが、硬膜外電気刺激の前後の変化が『硬膜外電気刺激+リハビリ』によるものであると考えてよさそうです。
硬膜外電気刺激デバイスの設定に関して書いてありました
・L1からS1-S2の間の、前腹壁に16個の電極が埋め込まれた。
・刺激の強さは、トライアルでヒラメ筋、腓腹筋、大腿直筋などを収縮させた最小の強さ。 頻度は2Hz
私見
前腹壁なんですね。。。ワイヤーのようなものを腹腔内に通しているのかもしれません。ネットで写真を探したのですが、見つかりませんでした。とりあえず進みます。
プログラムは・・・
・植え込み術後約20日後に、電気刺激を開始した。
・背臥位でのテストを行って、歩行に必要なリズミカルな運動が出現する刺激を探した
・トレーニングは、3つのセッションに分かれていた。
①トレッドミル上での足の踏み出し
②地面の上での立位
③地面の上での歩行
①、②は毎回のセッションで行われた。地面の歩行は、①、②に関連するスキルが身に付いてから導入が開始された。 。
・一回のリハビリは1時間で、これが1日1回ないし2回行われた。
・デバイスを使用しながら 立位には必要に応じて膝と股関節にサポートが与えられていた。
・歩行練習時に必要であれば下肢の振出しの介助が行われた
私見
事前の標準的なリハビリが終わってから20日以上たっているので、事前に行われたリハビリの効果が少し後になって現れたというようなツッコミは受けなくて良さそうですね。 トレーニング風景の動画を見ると、最大3人が同時に介助しています。かなり手厚いリハビリが行われています。
動画リンク(フルテキストのリンクでジャーナルのサイトに行くとビデオへのリンクがあります)
最後に、結果の表を載せます。
トレーニングを行っても、デバイスの電源をOFFにしてしまうと機能の回復はないようです。やはりそうなんですね(*_*;。。。
ただ、上記のURLからビデオを見て頂くとわかりますが、埋め込まれたデバイスは非常に小さいです。しかも大変な手間をかけて着脱をしなくてもいいです。実用レベルとは言えませんが、前進とは言える気がしますが。。。。
長くなりましたので次回に続きます。もう少しだけ書きたいです。
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。
理学療法士 倉形裕史
次回へのリンクです
自分と似たような考えを持った医療職の方が下記のキーワードで検索した際に、繋がりやすくなることを目的に下記のキーワードを書くことにしました。やや見苦しいですがご容赦下さい。
EBM、Evidence based medicine、EBPT、Evidence based physical therapy、根拠に基づくリハビリテーション、rehabilitation、リハビリテーション、理学療法、physical therapy、physiotherapy、統計、statistics、研究デザイン、study design、留学、study abroad、ロンドン、London、ユニヴァーシティー カレッジ ロンドン、University College Londn、UCL、ロンドン大学、University of London
0コメント