おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
何回か、『脳卒中リハビリの評価にバビンスキー反射は必要ないと思います』ということに関して書いています。
今回がこのシリーズの最終回です。
前回はバビンスキー反射の検査結果が意思決定にどの程度インパクトがあるか?
→ほぼない。
と書きました。 今日はその続きから書きます。
前に、発症初期に錐体路障害の有無を診断することに意味があるかも知れないと書きました。
では、リハビリ場面では重要か?
まず、リハビリの依頼が来る段階で、錐体路障害の有無は診断がついています。MRI、CTなどと言ったより高精度の検査が行われた後で、性能の低いバビンスキー反射の評価を加えたところで、意思決定には何も影響が出ません。
どういうことかと言うと・・・
もし、脳画像の検査や半身の麻痺によって脳出血・梗塞の診断がついているのに、リハビリ室で行ったバビンスキー反射の所見が正常だったからと言って、リハ専門職が主治医に電話して 『先生の診断に賛成しかねます。なぜならば、バビンスキー反射の所見で異常がないからです。』と言ったら、正気を疑われます(*_*;。。。
少なくても、私が横でその電話を聞いていたら、「2~3週間くらいゆっくり休んだ方がいいよ。きっと疲れてるんだよ( ;∀;)」と声をかけるレベルです。
と言うように、より精度の高い検査が行われた状況下で、バビンスキー反射の検査を追加する合理的な理由が私には見つけられません。。。。
3.病態把握のためにバビンスキー反射の評価が使えるか?
『患者さんの病態を知る』という言葉が疑いようのない金言のように言われていて、『そのための情報は多ければ多いほどいい。』と考えがちです。
ただ、「なぜ患者さんの病態を知る必要があるのか?」というと、患者さんの心身の回復を最大にするためのはずです。
ですので・・・・ ・
・その検査が本当に患者さんの病態を反映しているのか?
・調べる項目を増やせばより精度が高まるのか?
この辺りは慎重に考えないといけないのではないかと個人的には思います。そしてここに関してはメカニズムやコンセプトの良しあしではなく、データで評価しないといけないと思います。
もちろん、バビンスキー反射の検査は簡便ですし、大きな害もないので行ってもいいんです。しかし、この検査を行うことで『自分は、患者さんの病態を深くアセスメントできている』と思ったら、それは錯覚かリハビリ専門職の自己満足に過ぎない可能性も考えておく必要があるのかもしれません。
というのが私の結論です。
私は、エビデンスに基づいて考える思考の癖があって、数字に基づいてシンプルに考えすぎてしまう癖があります。時に良いのでしょうが、時に過度に単純化して考えてしまうという自覚があります。
そのような思考の癖のある私がバビンスキー反射の意義について考えると、何回考えても今まで書いたような結論に至ってしまいます。もし違う思考の流れで、違う結論に至る人がいたらお話してみたいな~と思います。
『私とは違う思考の流れの持ち主で、議論中に感情的にならない人』っていないかな~と。
なんか、議論が白熱してきたら、「理学療法士が『理学』所見をとることを放棄するのか??」とか言われそうで・・・(*_*;
・理学所見の中にも意味のあるものと、意味のないものがあって、その重要性は他の検査の発展などの影響も受けて時代と共に変化しうる。
・適切な理学検査を、必要としている患者さんグループに提供することが大切。
という、当たり前の前提を持っている方と議論がしたいですね・・・(+_+)。。
私にとっては当たり前でも、他の人にとっては当たり前でないのかもしれませんが。。。。
もちろん私が賢いというわけではなく、考え方の違いです。。。
以上で、この話はおしまいです。
長々とお付き合い頂きありがとうございました。
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。
理学療法士 倉形裕史
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