祝(?)200記事:脳卒中患者の運転再開へのリハビリ専門職の関りについて考えたこと③

おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。 


この記事で、200記事に到達しました(^o^)/。

最初に記事を書いたのが、2018年4月29日のようなので、約7か月で到達ですね。7か月がザックリ210日位なので、ほぼ毎日書けている計算ですね。 

『この活動に何か意味がありますか?』と聞かれると何とも答えられませんが、生存報告も兼ねて、続けていきます。 


備忘録として、今後やりたいこと 

①もう少し読みやすいレイアウトにしたい(文字の色を変えたり)ので、別のサービス(WordPressとか)の導入を検討する。 


 ②英語で記事を書く      

とかでしょうか・・・ 


さて、本題です。 前々回から、脳卒中患者の運転再開へのリハビリ専門職の関りについて書いています。 前回までに、現状と運転のスキルに関するリハビリについてガイドラインの内容を中心に書きました。 また、脳卒中を経験した後の運転再開は社会にとって重要な問題だと書きました。



続きです。このシリーズは最終回です。  


現在は、主治医が患者毎に個別判断をするということが主流のようです。これには細やかな判断ができるというメリットがある一方で、主観によって非常に重要な日常生活動作である運転の可否が決められてしまうというデメリットもあります(;'∀')。


ですが現状はなかなか基準となるようなものが見つかっていないようです。  


また、ガイドラインの中で取り上げられた神経学的検査で予測できるのは、実際の事故の確率ではなく、路上での運転検査の結果であるという点を改めて強調したいです。 


実際の運転は、何か考え事をしていたり、運転中に煽られて感情が乱れたりすることもあります。事故を起こさないために運転するのではなく、どこかに移動するために運転するので、急いでいることもあるでしょうし。。。 ですので運転検査の結果が実際の事故率を反映しない可能性も十分あります。


『少しでも疑わしいようであれば、運転再開を許可しない』というスタンスでない場合、検査結果でどこに運転再開の可否に関する線を引くのかを厳密に決めるには、下記のような試みが必要です。  

健康な方も、もちろん一定の確率で事故を起こします。ですので、 


・運転の適性検査でどの位の点数を取った人は、同じ年齢の健康な方と同程度の事故率になるのか?

 

・もし、事故の確率が上がるとして、どの程度までであれば社会全体として許容できるのか? 


という辺りを大規模な研究で明らかにしていかなくてはいけません。サラッと書きましたが、これを行うということは、その試行錯誤の過程の中で『医師によって運転再開を許可された、脳卒中を経験されて、かつ軽度の高次脳機能がある方』の運転によって失われてしまう命や怪我をしてしまう方が相当数でるということを意味します。 


検査の結果が実際の場面で機能するかは実際にデータをとってみないことにはわかりませんから、どこに線を引くかを根拠に基づいて決めたいならばこのような社会実験は必要です。 


高齢者の運転する車の事故の時もそうでしたが、印象でなく、データに基づく議論が必要です。ニュースで見るような、高齢者が運転する車の誤操作によって子供を喪ったお母さんの悲痛な叫びという画は非常にインパクトがあります。 高速道路の逆走など、高齢ドライバーのニュースは日本にいる時にたくさん観ました。

ただ、実際のデータは示せませんが、他のニュース番組の中で『80歳を超える位までは事故を起こす確率は増えない』、『高齢者の事故件数は増加傾向だが、それは、単純に高齢化社会が進行し、運転する高齢者の絶対数が増えているからだ』と言っている番組を観ました。 


もしも運転再開によって事故が起きたら、ニュースになってヒステリックな議論(『病気をしたら免許を返せ!!の』ような)にならないといいなと思います。やはり、こういう重要なことはデータを使って決めるのが大切であると思います。  


ただ、この分野の研究はあまり盛んにならないかも知れません。なぜかというとあと20年もせずに自動運転が主流になることが予想されているからです。もっと早いかも知れません。 現在悩ましいこの問題は近い将来、かなりの高確率で解決されます。医療に携わる専門職が、特に何もしなくてもです。 将来解決することがほぼ確実ならば、まだ解決のめどがたっていない問題に注力したいと考えるかもしれません。 


運転再開に関して特に詳しいわけではありませんが、こんなことをツラツラと考えました。 リハビリ専門職がこの分野にもっと関わることは素晴らしいと思いますので、是非データを基にした議論がされるといいなと思います。 



今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。

 理学療法士 倉形裕史 





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