患者さんとスーパーアスリートによる『このリハビリ(トレーニング)が良かった』というお話に対する距離の取り方について①

おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。 


タイトルの様な、患者さんやスーパーアスリートによる『このリハビリ(トレーニング)が良かった』というお話に対する私の立場は・・・ 

① 善意から自身の体験をシェアして頂く姿勢は尊いものです(共感) 


② 良い結果がでたことはホントに素晴らしいことです、(直接関わっていない方に対しても)私も嬉しいです(称賛) 


③ でも、そのことをもって、そのリハビリやトレーニングが有効だったかはまた別の話なので、慎重に判断させて下さいね(お願い) 

の3点です。 


『専門家はこうあるべき』と言える程、傲慢ではないので、こういう情報をどういう風に捉えるかは人それぞれだとは思いますが、 個人的には、専門家の方が、例えば、『イチロー選手がマシンを使った筋トレを不要と言っているから、これが本質です(マシンを使った筋トレは必要ないです)』という風に考えていたりすると少し違和感があります。 


エビデンスベースドのトレーニングやリハビリは患者さんを型にはめるものではありません。ですので、アスリートや、患者さんが科学的に信頼できる情報を十分吟味した上で、『それでもやっぱりこの治療法(トレーニング法)で頑張りたい』という決断を最終的に下したならば、その決断は尊重されるべきと思います。(その方法が効果的でない可能性が高くても、尊重すべきだと個人的には思います。 )


ですが、アスリートや患者さんが可能な限り合理的な判断を下せるようにサポートするのは私たちの重要な役割の一つだと思います。 


患者さんやスーパーアスリートの方々の中には、ご自身の体験から、『こういうリハビリが効きました』や『このトレーニングによってパフォーマンスが上がりました』という内容を発信していらっしゃる方がいます。 


この情報を発信している方々は恐らく、自分の体験を同じような病気を抱えている人、同じスポーツをやっている後進のプレーヤーに経験を伝えたいと考えて善意で発信しているのだと思います。 


こういった発言は興味深いものの、リハビリやトレーニングの効果は適切にデザインされた臨床研究によって判断することが良いというのが私の考えです。 

結局いつもの結論と同じような所に落ち着いてしまいますが(*_*;・・・・。 


最近の患者さんやアスリートは自分の病気のことや、憧れているアスリートのトレーニング方法をインターネットで調べます。自身の関心事に関して頑張って調べることは非常に良いことです。


ただ、私が改めて言うまでもなく、インターネットの情報は良いものから悪いものまで混在しています。そして、専門家でない方がその情報の良し悪しを判断するのはとても難しいです。  

(私は、医学に関する情報をどう取り扱うかに関してトレーニングを受けましたが、専門とするリハビリ以外の分野に関して適切に判断することは難しいです。リハビリに関しても慣れない分野では勘違いしてしまう可能性があるなと感じています) 




補足 

少し前に話題になった、「実際は脳腫瘍になっていなのに、なったと嘘をついてサプリメントを販売した」という事例の様な単純な嘘もインターネットには含まれます。ただ、この様な嘘は、今回の話の大筋とズレますので、とりあえず、この話は置いておきます。 

補足終わり



長くなりましたので次回続きます。



 今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。

 理学療法士 倉形裕史 


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