おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
先週で授業が終了しました。
話が少し前後しますが、最終週の授業のうちの一つが、いつものキャンパスとは別の場所で行われました。
通称PAMELAでパメラと呼びます。UCLとイギリス政府が協働で出資して運営されている施設のようです。
正式名称は、Pedestrian Accessibility and Movement Environment Laboratoryです。
建物が丸ごと実験施設になっています。
このプレートの一つ一つをコンピューター制御で動かすことができ、段差や傾斜を作ることができます。また、照明の色、明るさも調整できます。
さらにフォースプレート(床反力計)やモーションキャプチャー装置もあります。モーションキャプチャーの装置はViconではないようでした。
また、最新式のものではないようですが、ゴーグル型の装置で、被検者が見ている視野や、眼球の動きからどこの焦点を当てて見ているかなどを調べるシステムもあるとのことでした。
ここで取ったデータは、地下鉄の駅のホームの設定などに応用されているようです。
科学的なデータを政策や都市計画の意思決定に役立てるというのは、非常に合理的であると私は思います。日本でもきっと行われていると思いますが。
ここでの講義で面白いと感じたのは、
ホームと地下鉄の車両の入り口になる段差を小さくした方が、
転倒などのアクシデントが『増える』
そうです。
段差を少なくすると躓いたり転倒が増えるというのは、直感に反します。
講義をしてくれた鈴木先生(UCLで初めて日本の方から講義を受けました)のお話によると「高齢者は視覚も低下する。このため、地下鉄の駅のホームという環境(屋外と比べると暗い)では、小さな段差を認識することが難しいのではないか?」ということでした。
もちろん、このデータから、メカニズムを推測することはできません。高齢者の視覚や運動機能などの先行研究の結果と合わせた推測ということになります。
この結果を受けて、「では、段差は以前と同様の高さを維持して建設しよう」と考えるのか、何か他の方法を考えるのか?(例えば、段差の視認性を高める工夫をするなど)。
いずれにせよ、その効果を検証しつつ修正するという作業を行うという流れになるようです。誰かの思い付きで決定されて、その結果が検証されないという流れは、使う人のためにならないので、そういった流れが徹底されているのはとても素晴らしいと思いました。
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。
理学療法士 倉形裕史
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