おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
イギリスで勉強したことを共有したくてこのテーマで記事を書こうと考えました。
前回は、本題に入れずに、理学療法士の開業権の話で終わってしまいました。(;’∀’)
前回の記事で書いた通り、北米、英国圏、ヨーロッパの理学療法士は開業権を持っており、自身の「理学療法クリニック」を開業し、医師の指示がなくても理学療法を患者さんに提供できます。
このように医師の診断を受けずに、直接、理学療法士の評価、リハビリを受けることを
「ダイレクトアクセス」
と言います。
上記の地域(アメリカは一部の州では認められていないようですが)では、ねん挫など、緊急の手術を要さないような関節や筋肉の痛みなどでは、病院ではなく理学療法クリニックに受診することがよくあるようです。
日本の医療の質は、世界有数です(もちろん問題はありますが・・・)。 日本の医療システムの特徴として、医師と他の職種との分業が進んでいないというものがあります。
最近は一部の医療行為が、看護師さんができるようになったりしていますが(そのために看護師免許をとった後も高度で長期の研修をする必要があります)。。
しかし、現在は私達は開業を認められておらず、診断や理学療法の適応を医師が判断して、「理学療法を処方」することで、私たちは理学療法を患者さんに提供できます。
「医師会は、自民党の最大支援団体の一つなので、医師の権限を少なくするような方向には進んでいかない」というような陰謀論(?)もあるようですが、その割に、医師に責任と仕事があまりに集中しすぎて、仕事環境がブラック化してしまい、現場の医師が疲弊している→会員の利益になっていないような気がしますが。。。
開業医の先生にとっては都合がよいルールだったりするのでしょうか??私にはこの辺りはよく分かりません。
この日本のシステムは、当然メリットもデメリットもあります。
メリットとしては、診断や医療行為の質が担保されており、患者さんの利益になります。また、医師以外の職業は比較的責任が重くなく、護られているという所があります。医師は、医療システムの中で圧倒的な権限があり、医療職の中では圧倒的にサラリーが良いことなどでしょうか。
ただ、日本の医師のサラリーは、他の先進国と比較して、ブラックな労働環境の割に、かなり安く設定されていると聞きます。
デメリットとしては、患者さんは、医師の診察を受けるために長い時間待たされる、医師以外の医療職は、責任が限定的な分サラリーが安い、医師は、仕事量があまりにも多すぎることなどでしょうか。また、他の職種との分業が進まないと、必ずしも医師でなくてもできるようなことも、医師が行うため、国の医療のコストパフォーマンスが悪くなります。同じことを行う場合、人件費のかかる医師がやると割高になってしまいます。
このメリットとデメリットはトレードオフの関係のため、国ごとに最も良いと考えるバランスで医療制度を設計する必要があります。
その結果が、現在の諸外国の形であり、日本の医療の形なわけです。
先進国の共通の問題として、医師の負担が大きかったり、医療費増加の問題があります。そのために多くの国は少しずつ、分業を進めています。 例えば、筋肉や骨の問題で受診した患者を、最初は理学療法士が診察して、必要であれば医師に受診させるという様な取り組みがあります。理学療法士にスクリーニングの役割をさせることで、医師に受診する必要のない患者は受診させなくする狙いです。
このような研究はいくつか結果が出ています。そのうちの一つへのリンクを貼ります。
この結果、患者さんに不利益がなく、医師の負担を減らしながら、医療費の削減もできたという結果が出ています。
長くなりましたので次回に続きます。
そのうち、必ず『リハビリ職種に必要な症候診断』の話に入りますので、ご容赦ください。<m(__)m>
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。
理学療法士 倉形裕史
次回へのリンクです。
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