理学療法士の自分が、家族が脳卒中になってしまった場合、脳卒中の保険外・自費リハビリを勧めるか?②

おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。 


 前回から、保険外・自費での脳卒中のリハビリに関して書いています。 

前回は、対象は非常に狭いのではないかと書きました。 


その中で、少し日本の医療制度に関して書きました。 

少し補足しますと、 現在の医療制度では、医療保険でリハビリを受けられるのは180日というルールがあって(例外はあり)、その後は、介護保険でのリハビリになってしまうというルールになっています。 


専門外の方の場合、イメージが付きづらいと思いますので、ザックリと言うと、 脳卒中になってしまってから、半年が経過してしまうと、あまり手厚くリハビリを受けることができない という風に捉えて下さい。 


問題なのは、発症後半年が経過しても、体の回復をし続ける方もたくさんいることです。また、病気になってわずか半年で、治療が打ち切られてしまう(本当は必ずしもそうではありませんが・・・)のは患者さんにとってはとても辛いと思います。 


このような制度上の問題は、『リハビリ難民』を生み出してしまいます。もっと回復したい、そのためには集中的なリハビリを受けたい、でも受け皿がない。  


このような方々の『困った』を解決するために、自費でのリハビリサービスが誕生しました。また、施設数が増えているそうなので、ニーズもあるのでしょう。 


今日は料金に関して見ていきたいと思います。 


一番有名な『脳梗塞リハビリセンター』を例に挙げると、 ホームページの情報によるとサービス内容としては、週二回、一回120分のリハビリを60日コースで行う(期間内に16回)。これに加えて、自主リハビリや介護者に対する指導を行う。以上で、約30万円です。 


2か月で30万円と言われると、高い印象を受けると思いますが、この値段設定自体は実はそこまで高いものではありません。  


例えば、私が以前勤めていたような、訪問看護ステーションに訪問リハビリを依頼した場合、 60分の料金が9000円を少し切る位です。計算しやすいように9000円/60分で計算します。  


『脳梗塞リハビリセンター』では、120分のリハビリを16回提供します。 訪問看護ステーションからのリハビリを同じ量受けたとすると、約29万円です。 

32時間(=120分×16回)×9000円で計算しました。 


また病院でのリハビリは、一時間当たりが約7500円なので、同じように計算すると約24万円になります。 


病院や訪問看護ステーションのリハビリを受ける場合は、国が7割、8割をサポートしてくれるので、患者さん個人の経済的負担はここまで大きくなりませんが、実際は、国民が広く負担を分担しているだけで、同程度の費用は掛かっています。 普段、特に年齢がそこまで高くない私たちは、医療費のことを意識しませんが、高度な知識を必要として、かつ責任もある産業なので、サービスの価格は高いです。 


このように考えますと、自費リハビリの価格は、極端に高いものとは思いません。

効果の定かでない治療や、オーダーメイドの靴の中敷きを売って、1時間で2万円も3万円も請求する、得体のしれない整体院などと比較すれば、非常に良心的なサービスであるとも言えそうです。  


この様な、良心的な価格設定も、『脳梗塞リハビリセンター』のような、まともな(?)自費リハビリの会社が、一定の評価を得ている要因の一つなのではないかと考えています。  


長くなりましたので、次回に続きます。 

今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。

 理学療法士 倉形裕史 


次回へのリンクです。







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