おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
今日は、リハビリの研究において、「質が高い」と言われるために、求められる条件に関して書きます。
質が高いというのは、本当であれば色々な条件が含まれます。独創的であるとか、今までの研究でなかった視点で行われているなどです。
ただ、今日は、『バイアスが少ない=質の高い研究』という設定にして話を進めていきたいと思います。
システマティックレビューを行うにあたって、研究の質を評価する必要があります。 治療介入に関するシステマティックレビューを行う時は、ランダム化比較試験を選ぶことが多いです。 ランダム化比較試験は、医学研究の中で質の高いものですが、一口にランダム化比較試験と言っても、その質は様々です(;'∀')。
研究の細かな方法によって、バイアスの危険性が大きかったり、小さかったりします。バイアスは小さければ小さいほど、研究の質は高いです。
コクランのシステマティックレビューでは、下記の7つの方法で、バイアスの評価を行います。
①ランダム化の方法は適切か?
②グループ分けは、事前に予測できない方法で行われているか?
③介入を行うスタッフ、介入を受ける対象者は自分がどのグループに分類されているかを、隠されているか?
④結果の計測を行うスタッフは、対象者がどのグループに分類されたかを隠されているか? ⑤途中で脱落してしまった対象者の扱いはどうしているか?
⑥事前に「この指標で効果判定をします」と言っていた指標がきちんと報告されているか?
⑦その他
一個一個を詳しく書いていくと、長くなってしまうので割愛します。
近年の『質の高い』リハビリの研究では、『③介入を行うスタッフ、介入を受ける対象者は自分がどのグループに分類されているかを、隠されているか?』以外に関しては、しっかりとコントロールされています。
③に関してを達成することは、リハビリの研究では困難です。お薬の研究であれば、形や色を同じにして作った偽薬を与えることで、スタッフも対象者も、誰が本当の薬を飲んでいるかをわからなくすることが出来ます。 しかし、リハビリで、たとえば『運動をするグループ』と『運動をしないグループ』に分けた場合、スタッフ、患者さんに、どちらのグループに所属しているかを隠すことは困難です。
他のパラメーターに関しては、しっかりとコントロールされています。もしもトップクラスの医学雑誌に、投稿したい場合は、これらの条件を満たしていないと、なかなか掲載には至らないと思います。
また、この様な形でコントロールされていない研究では、システマティックレビューやガイドラインを作成する際に、ふるいにかけられてしまう可能性があると思います。
『論文を読む』の次のステップとして、論文に書かれていることを鵜呑みにせず、研究の質を評価できるようになると、なお素晴らしいと思います(^o^)/。
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。
理学療法士 倉形裕史
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