ファスト&スロー(上) (読んだ本)

おはようございます。夢のまち訪問看護リハビリステーション 都賀の理学療法士の倉形です。

以下に書くことは、私の所属先などとは一切関係のない私の私見であり、文責は全て倉形個人にあります。

今日は、最近読了した本に関して書きます。

 私は、職業柄(?)こういう本が非常に好きです。統計がテーマの読みものなども好きでよく読みます。 『今まで、エキスパート達が絶対に正しいとされてきた分野に、サイエンスの光を当てると、全く違う姿が見えてくる』みたいなものが統計とか実験データで示されているのを読むと『ウフフ( *´艸`)』ってなります。

 この本は、ダニエル・カーネマンさんというノーベル経済学賞を受賞したゴリゴリの学者さんが書いた本です。最近ちょくちょく本屋で取り上げられている『行動経済学』という分野の第一人者です。 門外漢なので必ずしも以下の解説があっているかは責任が持てませんが、近年の経済学は心理学とか進化論と結びつきを強めていて、『なぜ、人は金融取引などで合理的でない行動をとるのか?』なんていう疑問に答えてくれるようになっています。

 本の内容は、私たちは、早い思考(直観的)と遅い思考(論理的)の両方を無意識に使って、判断しているっていうのが最初に来ます。で、日々の生活では、早い思考に引っ張られがちなのだそうです。 これは、進化の過程でその方が生存において有利だったからです。

 (ここからは本の記載に私が解釈を加えたもの)我々が危険な生物(猛獣など?)と生活空間をまだ共有していた数万年前とかは、早い思考が得意な人たちが生存競争に有利でした。もし、森を歩いていて、近くの茂みがガサっと鳴ったら、『猛獣だ!!危ない!!』と早い思考を使って、判断して一目散にその場から逃げ出す人の方が生き残りやすかった。もしもそこで遅い思考を使って、『何がいるか確かめよう』とか茂みの中を調べるような人は死んでしまう確率が高かったと思います。こうやって早い思考が得意な先祖が生存競争で勝ち残りましたが、現代では多くの人は、その様な脅威と生活空間を共有していません。現代では、早い思考による弊害が出る場面が多いです。例えば、確率的に誤った判断をしてしまうとか、偶然によるものに実際はない因果関係を見出してしまうとかです。

 

 この本の中で著者が設計した実験が、本の中で取り上げられています。私たちがいかに自分の印象で物事を判断しているかがよくわかって笑えます。ちなみに私もハマりました。『偉そうにしてしてみても、バイアスからは逃れられないな~』と恥ずかしかったです。

ザクっとまとめると・・・


下記の質問に答えよ
 リンダは31歳の独身女性。外交的でたいへん聡明である。専攻は哲学だった。
 学生時代には、差別や社会正義の問題に強い関心を持っていた。
 また反核運動に参加したこともある。

 Q:リンダは、銀行員か、それともフェミニスト運動に熱心な銀行員か、
   どちらだと思いますか?

 多くの人は、『リンダはフェミニスト銀行員だ』と答えるそうです。つまりフェミニスト銀行員である確率が高いと見積もるということです。 私も、この問題の出され方であれば、『実際はただの銀行員なんだろうな』と思いましたが、なぜかは説明できませんでした。 ただ、これは、非常に簡単な下記の式でこの確率の見積もりは間違っていることに気付きます。  

銀行員 = フェミニストの銀行員 + フェミニストでない銀行員

                                     です。

フェミニスト銀行員の集合は銀行員の集合の中にスッポリ収まります。したがって、リンダがフェミニスト銀行員である確率は、銀行員である確率を必ず下回ります。 でも、私たちは、リンダの人物描写に引っ張られてしまい(早い思考を使って)、確率的に誤った判断を下してしまいがちです。

というような記述がつらつらと続きます。知的好奇心は大いに刺激されますが、やや記述が平坦なので中だるみしてしまうこともあるかも・・・・。私は、下巻も読みます。多分、理学療法士も同じような判断のミスをたくさんしてるんだろうな~と考えさせられる記述がたくさんありますよ。もしご興味のある方は是非読んでみてください。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。  

 理学療法士  倉形裕史

Evidence Based Physical Therapy - 理学療法士 倉形裕史のページ

キャリアゴールは『日本を含む全アジア地域で、全てのリハビリ対象者が適切な価格でエビデンスベースドのリハビリにアクセスできる社会を実現する』ことです。 ゴール達成のために、勉強したことをシェアしたり、同じような活動をしている方とコミュニケーションをとることを目的にサイトを作ってみました。 ゴールやそこまでの道のりが少しでも被る方は、是非一緒に何かやりましょう。

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