小脳梗塞患者のリハビリ後の機能回復③

おはようございます。

夢のまち訪問看護リハビリステーション 都賀の理学療法士の倉形です。

以下に書くことは、私の所属先などとは一切関係のない私の私見であり、文責は全て倉形個人にあります。

小脳梗塞患者のリハビリ後の機能回復に関して論文を読んでます。

②の続きです。

P. J. Kelly, J. Stein et al: Functional Recovery After Rehabilitation for Cerebellar Stroke Stroke 2001 Feb: 32(2):530-4 Pubmed でPDFをダウンロードできます。

結果 


 小脳梗塞患者と小脳出血患者で背景因子(性別、年齢、Charlson comorbidity score)は、統計的な差は認めなかった。

 Charlson comorbidity scoreというのは聞いたことがなかったけど、方法の中で、『併存疾患に関するスケールで、入院後1年間の生存率の強力な独立した予測因子』とされています。


 リハビリテーション病院の入院日数は、出血の方が長い(p = 0.05)。一方、急性期病院の在院日数は差がなかった。

 平均すると約2週間程度長いようです。 FIMでみた機能によると  リハビリテーション病院に入院した際のFIMは、出血の方が有意に不良ですが、この差は退院時には認めなくなります。

 面白いのは、フォローアップの時期になると、出血患者の平均が出血を逆転します。出血患者の最終的なFIMの平均は115点(104~126)です。『多く小脳出血患者が身の回りのことはかなり自分でできるようになる』と考えられるのかなと思ったら落とし穴がありました( ゚Д゚)。退院後フォローアップのFIMは出血患者9例のうち2例しかデータが取れなかったという記載がありました。(自分の技術的に可能なら後で表を追加します)

 これでは、何か信頼できる結論を出すのは難しそうですね。 入院時、退院時のFIMは共に小脳梗塞患者の方がいいです。

  

なので、ここから先は私の解釈ですが・・・

単純な比較にどこまで意味があるかわかりませんが・・・・   

 (小脳梗塞患者の平均FIMスコア)-(小脳梗塞患者の平均FIMスコア)

      を計算すると・・・・   

   リハ病院入院時:26.8   

   リハ病院入院時:18.6   です。

梗塞患者の方がFIMスコアが良いけど、発症からの時間経過に伴いその差は減少している。という傾向を踏まえると、フォローアップ時も10点程度の差は残存していて、出血患者の平均FIMスコアは100点前後と考えとくのが無難なのかもしれません。

フォローアップ率は80%以上は欲しいところですが、このstudyは22%・・・色々大変だったんですねきっと。ただ、データの価値は下がります。これは事実なのでしょうがない。

次回は、もう少し、どんなリハビリを行ったかに関しての記述も探してみます。

今日も、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました   

理学療法士 倉形裕史

Evidence Based Physical Therapy - 理学療法士 倉形裕史のページ

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