おはようございます。
夢のまち訪問看護リハビリステーション 都賀の理学療法士の倉形です。
以下に書くことは、私の所属先などとは一切関係のない私の私見であり、文責は全て倉形個人にあります。
前回に引き続き、『代替医療解剖』に関して取り上げます。 今回も、一般の方向けです。この本に関しては今回が最終回です。
ここからは私見です。 以前にも書きましたが、『標準治療』というのは、『人類の英知が到達した有史以来最も信頼できる治療』です。なので、多くの場合(というかほぼ全ての場合)において、代替医療よりも効果的です。
ただ、自分であったり、大切な方が重い病気に罹って、しかも効果的な標準治療がない場合は、心強い宣伝文句に惹かれて代替医療を試してみたくなってしまうかもしれません。
どこかには、『一般に知られていない、一部のセレブやお金持ちだけがアクセスできるような超効果的な治療があるのではないか』と探したくなってしまう気持ちも非常に共感できます。私も、母が闘病している時、『そういうモノ(例:効果的だけど、日本では未承認の特効薬のようなもの)があったらいいのに』と夢想していたのを覚えています。
ただ、医療の世界では有名な話ですが、スティーブ・ジョブス氏の癌は治るタイプの癌だったのに、氏は標準治療を拒否し、東洋医学などを取り入れた治療を行い、治療機会を逸してしまったというものがあります。たらればの話ですし、カルテを確認したわけでもないので憶測でしか話すことはできません。しかし、スティ-ブ・ジョブス氏のような『超有名人(セレブ)』で『億万長者』で『世界中の情報が集まるような企業のCEO』が取り入れた代替医療でさえ、標準治療には遥かに及びません。ということは、代替医療というのは・・・・と結論することが妥当なのではないかと私は考えます。
本人の『なんとしても治したい』、ご家族の『治すためになんでもしてあげたい』という気持ちに付け込んで商売をしたい人、もしくは純粋な善意から『誤った情報』を提供してしまう人など色んな場合があるんだと思います。 倉形家は幸い(?)そんなに裕福な家庭ではなかったので、高価な代替医療の誘いはなかったようです。ですが、もしそんな話があれば、医療に携わる人間がいなかった当時の倉形家であれば、どうなったかはわかりません。それだけ誰にでも降りかかりうる問題であると思います。
代替医療(特に寿命があまり長くない癌などへの代替医療)に対する姿勢として、以前参加した勉強会で医師の先生が仰っていたことがホントに共感できたので、最後に書きます。
もしも、どうしても代替医療を試したくなってしまったら、
①標準治療をやめないこと
②苦しいものは避ける
(末期がん患者に絶食を強いるなどは、効果がないだけでなく、ただでさえ
衰弱している患者さんにさらにひもじい思いをさせています)
③高価過ぎないもの
患者さん本人にとって心地の良いもの、口に合うモノを買ってあげたり、
遺された家族のためにもお金は重要です。
④時間が掛かり過ぎないもの
最期の時間というのは、家族にとって何物にも代えがたい大切なものです。
もし効果のない治療に時間を費やすならば、家族旅行などをした方が
いいかも知れません。
⑤代替療法の効果を期待しすぎないこと
私としては、これに加えて、
・一人で決めないでみんなで話し合うこと
というのを挙げたいです。『みんな』には、患者本人、親戚・家族、医師などの医療者が
含まれます。正直、私も全く自信がないのですが、大切な人が重篤な病気に罹ったら、
冷静な判断ができず、不合理な行動をとってしまいがちです。
どうか、自分だけで抱え込まずに他の人の声に耳を傾けて、そして助けを借りてください。
←自分に対しても戒めてます。 読んだ本に関して書くつもりが、私見の方が長くなって
しまいました。。。そんな日もある( ゚Д゚)。
どうか本当に困っている皆様が、勘違いや知識不足によって、限りある大切な時間やお金を、
効果の乏しい治療に費やして、後悔することのないように心からお祈り申し上げます。
今日も、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました
理学療法士 倉形裕史
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