おはようございます。理学療法士の倉形です。理学療法士というのはリハビリ専門職の一つです。
前回の続きです。前回へのリンクを張らせて頂きます。
前回は、実際のリハビリの現場を例に挙げて、リハビリのリアルと言いますか、泥臭い所を書きました。
ただ、現代最良のリハの多くはこのような泥臭い練習を含みます。ちなみに現代最良とは、現時点で『最も高い回復効果が期待できる』リハビリという意味です。最良という言葉は多分に主観的です。もしかしたら、気持ちのいいマッサージを受けることが最良だと考える方がいるかもしれませんので、念のため、少し詳しく書きました。
例えば、脳卒中のリハビリにおいて、麻痺がある手足の回復に、最も効果的とされているリハビリは、専門的には色んな理論を含みますが、換言すると下記の1~6で説明できてしまいます。
- 患者さんが本当に必要としていて、心から『その動作ができるようになりて~』って思う課題を患者さんと一緒に設定する。
- 「その動作をできるようにするためにはどうしたらいいんだろう?」とリハ専門職と一緒に方法を考える。(『リハビリをする』だったり、『何か道具のサポートを借りる』だったりする)
- 1日3時間とか、それ以上の長い時間を集中してリハビリをする。
- リハビリ専門職が患者さんの改善に合わせて、リハビリの難易度を難しすぎず、易しすぎない難易度に細かく再設定する。
- リハビリで練習した動作を日常生活でドンドン使わせる。
- 麻痺がある手足を使った内容や頻度を記録させて、その結果に関してフィードバックを与える(つまり、「もっと日常で使ってくださいよ~」とはっぱをかける)。
実は、旧来のリハビリはそうでなく、リハ専門職の『テクニック』が重宝される時代がありました。そういった古くからある治療理論の講習会に参加した時に、こんな場面がありました。実際の患者さんに協力してもらって行った治療デモで、その理論のエキスパートのリハ専門職の方は『皮膚から刺激を入れることで脳の活動に変化を促す』ということで、バスタオルを使って、患者さんの体を1時間近くさすっていました。
・・・・『そんな時代もあ~ったねと~♪』と中島みゆきさんの「時代」が頭の中で鳴っていたことを思い出しました。。。(;'∀')
ちなみこの理論は科学的にはほぼ完全に否定されていますが、今でも新しい会員(?)を募集し続けています。
話は逸れましたが、このように現代のリハビリは、患者さんの協力が必要というか、患者さんが主役です。患者さんが回復のために行う努力を正しい方向に向かせたり、その努力が辛くないように、励ましたり、モチベーションを高めたり、改善が見られたものをフィードバックしたりというのが主な役割です。
関係性として、親と子のような『リハ専門職が患者さんに何かを与える(特別な治療を施す)』のではなく、コーチとプレーヤーのような感じです。実際にやるのはあくまで患者さんであり、リハ専門職はコーチでありサポーターでありコンサルタントです。 リハビリの主役(?)がリハ専門職から患者さんへ変わるという流れが起きています。 いつか機会があれば書きたいのですが、この流れは脳卒中のリハビリだけに留まりません。腰痛、股関節痛、膝痛などの手足の痛みでも同様です。そういった科学的根拠がどんどん積み重なっています。
今後、この流れは加速することはあっても、方向転換することは難しいでしょう。
今日はこの位で。次回に続きます。
今日も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
理学療法士 倉形裕史
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