おはようございます。理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
昨日から、『体幹のインナーマッスルの正しい使い方の学習』と腰痛治療の関係に関して書いています。
昨日の記事では『モーターコントロールアプローチ』に関して書きました。
今日はこの治療法に関する研究結果を調べてみます。
著者:Macedo LG, Latimer J, Maher CG, Hodges PW,他
タイトル:
Effect of motor control exercises versus graded activity in patients with chronic nonspecific low back pain: a randomized controlled trial.
Phys Ther. 2012 Apr;92(4):631
2012年の研究です。昨日話題に挙がったポール・ホッジス先生の名前も共著者の中にあります。
ちなみフリーでPDFが手に入りますのでご興味のある方はご覧ください。
ここで、リハ専門職の方用に少し研究の概要を書きます。
・PICOは 下記です
P:3か月以上継続する腰痛患者(18歳~80歳)
I:8週間のモーターコントロールエクササイズと
C:8週間のグレーデットアクティビティを比較して
O:痛み、身体機能、QOLの改善に差があるか?
・研究デザインはRCTです。
・N=172でリハビリ関連の研究としては規模が大きいです。
・追跡率:最終的なdrop outは両グループ合わせて14名(8%)と追跡率も良いです。
・方法の所を読むとITT解析を行ったようですが、drop outした対象者に関しての扱い方は書いてありません(平均的な結果を辿ったと予測するのか、改善がみられなかったと仮定するのか??)。
概要終わり
モーターコントロールと比べられているgraded activityというのは、患者教育を含む、『徐々に活動量を上げまていきましょう』と指導する方法です。
この論文の中で挙げられている両者の違いを下記に示します。 日本語には私が訳しました。
このようにみると、モーターコントロールエクササイズが緻密に体幹のインナーマッスルの使い方の学習をしていることがわかります。一方グレーデットアクティビティは「特定の筋を意識させない」や姿勢やインナーマッスルの使い方の学習に重きを置いていません。
その結果は、下記です。
どの時点においても、両者に差はありません。
研究チームは、結論部分において、いくつかモーターコントロールエクササイズに有利な『仮説』を挙げていますが、最終的には『グレーデットアクティビティの方がコスト的に優れている』と結論しています。 もしも、『体幹のインナーマッスルの使い方の学習』が決定的に重要であれば、この結果はおかしいです。
長くなりましたの、続きは次回に。
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
理学療法士 倉形裕史
次回へのリンク
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