おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
最近、Twitterをよく見ています。有名なリハ専門職の先生なんかもいて、そういう人の生の声を聞けて面白いです。情報収集にいいツールですね(^^♪
その中で、最近、運転に関して、作業療法士を中心としたリハビリ専門職が関わる動きがあるという内容のつぶやきがよく流れてくるようになりました。
そういえば、神奈川県の教習所が作業療法士を雇ったなんてニュースもあったなと(^o^)/。
運転と作業療法に関する研究会なんかもあるようですし、作業療法士さんの中で運転に関するセミナーを開催している方もいらっしゃるようです。
リハビリ専門職が新しい分野で社会に貢献できるのは素晴らしいことです。
ただ、例のごとくの心配性(?)で、リハビリ専門職が関わっている『運転再開に関する活動』の『運転手』が誰なのかが気になりました。健康な高齢者なのか、脳梗塞などの病気を経験したことのある高齢者なのか?
(高齢ドライバーの問題も慎重に考えなければいけない問題ですが)もしも、脳梗塞を経験したことのある高齢者の運転に関してであれば、講師の先生、受講者の方、アドバイスを受ける高齢者の方、そのご家族の皆様はどうぞ慎重にご判断下さい。
そんなことはないと信じていますが、脳画像の所見、神経学的検査の所見、リハ専門職の方のオリジナルの検査(複数の課題を行う様な『認識に関わる検査』など)の結果で運転の可否に関して何か見解を述べていたり、効果の証明されていないリハビリテーションで運転スキルを高めると謳っていないか注意してください。
ちなみに、現在はまだ、運転スキルが低下してしまった脳卒中患者を運転再開が可能なレベルまで改善させるような確立されたリハビリは恐らくありません。
現在においても、脳卒中患者の運転再開というのは、非常に難しい問題です。
2016年にアメリカ心臓協会が脳梗塞後のリハビリテーションに関するガイドラインを出しました。
無料でアクセス可能ですのでご興味のある方は是非( ゚Д゚)。
脳卒中へのリハビリは、実はかなりデータが出て来ていて、何か新しい大きなイノベーションが起きればまた話は変わりますが、どのようなリハビリを行うべきかは、かなりわかってきています。
ですので全体的にこのガイドラインは、はっきりと結論を言っています。
その中で運転の再開に関する項目があります(e140)。 この項目に関して、ガイドライン作成グループは非常に歯切れが悪いです。しっかりとした結論を出せるだけのデータが揃っていない、かつこの問題は社会に与えるインパクトが大きいからでしょう。
アメリカの現状として
・全脳卒中患者のうち1/3から2/3の患者が発症後一年以内に運転を再開するそうです。
この割合を多いとみるかは個人によると思います。アメリカでは年間80万人程度が脳卒中を発症するようなので、年間約27万人から54万人程度が脳卒中によって運転できなくなっているようです。
・脳卒中患者の運転再開に関しては州ごとに法律が定められているそうです。
州ごとに違いはあるものの、主治医(リハ医)が、家族、患者本人などと協議し、患者毎に個別判断することが多いようです。
・場合によっては、運転に関するリハビリを受けることもあるようです。
ガイドライン作成チームは、『必ずしも脳卒中患者の運転再開に関する評価システムは適切に機能しているとは言えず、この分野は、現在のヘルスケアのエアポケットである』と言っています。
長くなりましたので次回に続きます。
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。
理学療法士 倉形裕史
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