University College London(UCL)留学記:ロンドンの観光地で詐欺にあった話③

おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。 


前々回から、ロンドンの観光地で『ギャンブル詐欺』にあった話を書いています。

前回、なぜ詐欺グループに騙されてしまうのか?に関して書きました。 


今回は、被害にあってから2週間後に現地に取材にいった時の話を書きます。 

その日も、晴天で、この橋は凄いたくさんの人で賑わっていました。 この橋の上に6、7グループの『ギャンブル詐欺グループ』がいました。  


彼らは、ずっとぶっ続けでやっているわけではなくて、5~10分ほどすると一旦、荷物を畳みます。しばらくして同じ場所でまたやることもあるし、少し場所を移動することもあるようです。取り締まりを避けるためでしょうか??  


今回の歩いているとやはり声を掛けられます。 彼らはなぜか、私が日本人であることがわかるようで「アリガト~、アリガト~」と日本語の単語を大声で連呼して私のことを呼びます。中国語で声をかけられることはありませんでした。 基本的にイギリス人は、東アジア人(日本、中国、台湾、韓国など)の区別がつかないですが、重要な顧客なので、彼らは区別が付くようになったのかも知れません。。。  



やはり、女性メンバーが道をさりげなく塞いで、『賭けなよ』と言ってきます。 倉『う~ん、そうだね~。』と迷ったふりをすると『賭けなよ、賭けなよ』とテンションが上がってきます。しばらくハイテンションの「賭けなよ」コールを聞いた後に、 


倉「いやだよ。だって、詐欺じゃん。あなたも詐欺師でしょ。」と(静かに)言うと、その後はそのグループの人たちは私を完全無視します(何回か往復しましたが、ずっと無視でした)。。。。 



次に、写真を撮ったり、ムービーを撮ったりを試みました。 これがなかなか難しいです。グループの中に一人見張り専用のメンバーがいます(この写真だと、手前の腰に薄手のダウンを巻いてる人)。撮影などの変な行為を行う人間がいると、「何撮ってんだ。撮るなよ」と言ってきます。「削除しろ」と言ってくる場合もあります。結構、怖いです。。。  


で、手でレンズをふさいだ後は「止まるな。行け。」と言って追い立てられます。直前までは超ニコニコで「止まって、止まって~」と言っているのですが。。。 


見ていると、結構、観光客がお金を巻き上げられていました。(自分だけじゃなかったという妙な安心感がありました(;’∀’))  


見ていて面白いなと思ったのが、コンビネーションが絶妙です( ゚Д゚)。 


こんな場面に出くわしました。

一回、お金を失った観光客が、なんとなくその場に残っていたことがありました(奥の黒いキャップをかぶっている男性がカモです)。 シャッフルする人も、他のメンバーも「賭けなよ」と煽るけど、その観光客は、嫌がってかけませんでした。 すると、


  1. 3個あるうちのカップの一つをサクラにお金を賭けさせて、開けさせる。→外れる。 
  2. サクラと『シャッフルする人』がお金のやり取りをしている間に、別の詐欺メンバー『手前のスーツの男性』が、『シャッフルする人』から見えない位置で、もう一個のカップをあける(この中にはボールが入っていない)。何食わぬ顔でカップを元に戻す。そして、観光客にウインクする(^_-)
  3. カモが嬉しそうに一個だけ開けられずに残ったカップにお金を賭ける(一回目の負けの分を取り戻すために一回目よりも多く賭ける)。  
  4. シャッフルする人が、カモが3でお金を賭けたカップを空けると、その中にボールはない。②でスーツの人が空けたカップにボールが入っている(さっきは入ってなかったのに・・・)  
  5. 二回目もカモはお金を巻き上げられる。 

鮮やか( ゚Д゚)。いや、イカサマですけど。。。



でも、人の心理がよく分かっているというか。。。 ずっと見ていたけど、トリックのタネはわかりませんでした。 



最近、『行動経済学』の本を読む機会が多いです。以前にも紹介した『Fast & slow』という本もその一つです。 この本の中で、どういう時に私たちが錯覚を起こしやすいが解説されているんですが、詐欺グループの手口は、この本を読んだかのように、理に適っています。もちろん読んでないと思いますが、試行錯誤を経て、最も合理的な方法に至ったんだと思います。  


面白いなと思うのが、詐欺グループの構成が人種や年齢がかなり多様な点です。写真に写っているスーツの男性は50代位に見えましたし、着ているスーツもある程度良い品質のものの印象でしたが。。。この男性はこのグループにずっと付いていて、時々お金を賭けるサクラ役もやっていたので、ほぼ間違いなくグループの一員です。



ただ、この詐欺は、少なくとも4、5人のメンバーが必要だし、そこまで多くのカモが捕まっているようにも見えないし、捕まるリスクもある。どうしても割に合わない気がするんですが、彼らを駆り立てる何かがあるのかも知れません。全く興味ないですが。。。 



3回に分けて詐欺にあった話、詐欺現場を観察した話を書いてきました。今回の最後に行動経済学という単語が出てきました。ようやくここからが本題です。 



長くなってしまいましたので次回に続きます。 詐欺の描写は今回で終わりです。次回は行動経済学の話にシフトします。ご興味のある方はこの先も読んでください。  


一見、このブログの趣旨とこの話は関係ないように感じますが、最終的には、ブログの趣旨に合った形でオチますので、安心(?)して下さい。 



 今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。

 理学療法士 倉形裕史 


次回へのリンク








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