おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
CRPSというのは、complex regional pain syndromeの頭文字をとったもので、日本語では複合性局所疼痛症候群と言います。
今回は、この治療に対するなかなか攻めたcase reportがあったので共有したくなり、取り上げることにしました。
Dramatic effect in passive ROM exercise under sedation in a patient with intractable complex regional pain syndrome (type I) A case report
(論文へのリンクも貼っておきます)
最新のインパクトファクターが2.028の査読付きの雑誌のようです。
韓国人の医師などが著者です。一連の経緯は韓国で行われたようです。
『難治性のCRPS(Type 1)患者に対する鎮静下での他動的関節可動域練習が非常に有効だった』というタイトルの症例報告です。
鎮静をかけて関節可動域練習を行う??(;'∀')
中を読んでみますと、
論文の骨格として
P:CRPS患者さんに対して
I:鎮静下で他動的な関節可動域練習を実施
・鎮静下で30分間の他動的関節可動域練習30分×2日
・覚醒した状態での30分間の他動的関節可動域練習30分×18日
C:なし(Case reportのため)
O:痛みや腫れや発赤が軽減した
今学期の課題の一つにケースレポートの作成というのがあって、ケースレポートの例を検索していました。
CRPSの患者さんは、非常に痛みに敏感になっていて、軽く触れられるだけでも非常に痛くて辛いことがあります。
私は、10年超の病院勤務経験で1例だけ経験しました。有病率がそこまで高くないということに加えて、私が働いていた病院ではあまりリハビリのオーダーが出ない疾患だったのかもしれません。 なかなか治療の難しい病態で、私が担当した患者さんも、あまり良い経過を辿ったとはいえませんでした。
リハビリの重要性は叫ばれつつも、なかなか実際の現場ではリハビリの介入が難しい疾患という印象です。
少し内容を詳しく見てみると 元々は健康な19歳の女性患者が対象者です。右ひじの辺りを誰かにぶつけてしまい、その後、腫れや痛みが強くなったそうです。肩・肘・手首の関節を動かすのが難しかったようです。痛みのせいで右手の爪が切れない、活動量低下で体重が20kg増えてしまった、芸大の入試準備をしたかったけど、痛みでダメだったなど、かなり大変な様子が書かれています。
治療としては、
非ステロイド系の痛み止めであったり、抗うつ剤の様なものを処方されていたようですが、効果がなかったようです。さらに神経ブロックの処置やオピオイド(非常に強い鎮痛剤)の服用も効果がなかったそうです。
集中的なケアを行うために、入院することになり、理学療法が開始になったようです(ちなみに入院前のリハビリに関しては特に記載はありません)。 ただ、触るだけでも非常に強い痛みが出てしまうため、関節可動域運動は全くできない状態であったようです。 なかなか過酷な経過ですね。。。
CRPSに対して入院して治療を受けるというのも、私は日本にいる時に聞いたことがなかったです。この辺りは恐らく、医療システムの違いが影響していると思います。
長くなりましたので次回に続きます。
次回で行われた治療やその後の経過に関して書きます。
治療前後の写真です。 見た目としてはかなりの変化です。
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今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。
理学療法士 倉形裕史
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