おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
CRPSというのは、complex regional pain syndromeの頭文字をとったもので、日本語では複合性局所疼痛症候群と言います。
前回からCRPSに対して鎮静下での関節可動域練習を行ったCase reportに関して書いています。前回は、この治療に至るまでの経緯などを書きました。
治療方法としては 開始10分前に15㎎のミダゾラムが与えられて、30分間、鎮静下でリハ専門職による関節可動域練習を行うようです。鎮静をかけても完全には痛みが消失しなかったものの、患者さんは鎮静が解けた後に、痛かった記憶がなかったとのことでした。
鎮静がかかっていても、少し痛がったということなのでしょうか?やはり、かなり痛みがあったようですね。。(;'∀')
三回目以降は鎮静をかけなくても、リハ専門職による関節可動域練習が行えるようになったようです。この頃から周径(関節周りの太さ)が減少してきたとの記載がありました。 退院まで、従来型のリハビリが続けられたようです。これに加えてリハ専門職による関節可動域練習と物理療法(空気による圧迫)が一日二回行われたようです。
退院時には手の太さは反対側と同程度、痛みは軽度残存したものの、手の機能はほぼ正常レベルに回復したようです。 週二回、外来でリハビリは継続したようですが、学校にも戻ることが出来たようです。退院から18か月後は体重もCRPS発症前と同程度まで戻ったようです。
以下は、私見です。
この患者さんに関しては、とても良い経過を辿ったようです。あくまでケースレポートですので、ここに書かれている治療と症状の改善の因果関係を言えるものではありません。ただ、経過から関節可動域練習の効果を期待してしまいます。
もしかしたら
・ミダゾラムの副作用(副作用は、主な作用以外の作用なので、好ましいものも、良くないものも全て含みます)の可能性もある
・それまでの治療の効果が少し遅れて出たのかも知れない
・鎮静下で関節を動かすことで何らかの効果があった可能性もある
・精神的な作用の可能性もある
など色々な原因が考えられますし、もしかしたら複数の要因が絡んでいる可能性もあります。
よりキチンとデザインされた臨床研究は必要ではあるものの、面白い取り組みであると思いました。
ただ、鎮静をかけるリスクなどを考えると、バイタルの監視が必要だったりして、病院じゃないとできないかも知れないですが。。。 (*_*;
また、著者たちは「鎮静をかけてCRPSに対するリハビリを行った最初の研究だ」と言っています。このような取り組みは、通常の日本の病院ではなかなか出来ないと思うので、その「やっちゃおう」みたいなノリも凄いなとも思いました(もちろん倫理委員会に通しているようですし、患者さんからも書面で同意を得ていますが)。
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます
理学療法士 倉形裕史
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