以下に書くことは、私の所属先などとは一切関係のない私の私見であり、文責は全て倉形個人にあります。
私の、医療に関する経験(いわゆる臨床経験)に対する立場は、
『人類はまだ、医療に関して経験から学べるほどには賢くない』です。
つまり、『リハ専門職種は、経験年数が伸びただけでは、治療成績は改善しない』です。
臨床経験『だけ』からでは、信頼できうる結論は導けないと思っています。『そこまで極端な姿勢はどうかな?』と思うとしても『自分の臨床経験から導き出した結論は、ほぼ当てずっぽうと変わらないかもしれない』と超慎重に解釈する位の姿勢が合理的なんじゃないかなと思います。
上記を、後輩にはよく言います→「だから、(先輩である私に対して)変に肩ひじを張らずに、自分の意見を言ってください」と。
先輩にはあんまり言いません→ぶっ飛ばされちゃうかもしれないから・・・。
恐らく、こういう風な立場を臨床経験に対してとっているリハ職種の人間は多数派ではないと思います。なぜ、こんな風に思うようになったかという理由はいくつかあって・・・、
① 相関関係と因果関係の区別は簡単じゃない
私たちは、サイエンス(研究デザインや統計)の力を借りないと、この二つを区別する
ことがとても困難です。
② 医師の臨床成績は経験年数を積めば積めほど『悪くなります』
リハ専門職ではなく、内科医のデータ(しかもアメリカの)ではありますが。津川友介先
生という、医師でカリフォルニア大学ロサンゼルス校で医療経済学を教えている先生の論
文を含め、質の高い複数の研究で繰り返し報告されているので、恐らく真実です。『医師
のデータだからリハとは関係ない』と言うのは簡単ですが、論文を読んでいくと、もし
『リハ職は違う』と主張するなら、同じくらいの質のデータで否定しないと説得力がないな
~と思わされます。
*①、②の内容が詳しく載っている本
③ 歴史上、同じような勘違いをたくさんしてきているから
歴史上、大規模な観察研究によって支持されていた結論が、質の高い臨床試験によって
ひっくり返るということがたくさん起きました。数万人規模の観察を行っても、間違った
結論を下してしまうことがあるのに、一人のリハ職種が経験できる数百から1000~2000人
程度の臨床経験で信頼のできる結論を引き出せるほど我々は賢くないと思います。当たり
前ですが我々は神様じゃないので。『臨床の神様』みたいなポジショニングをとっている
人はいますが・・・・。
一回で書くと長くなってしまうので、次回から1個ずつ書きます。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
理学療法士 倉形裕史
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