脳卒中リハビリの評価にバビンスキー反射は必要ないと思います①

おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。 


最近、Twitterをちょくちょく見ています。この週末で神経系に関する理学療法の部会(学会?)みたいなものが行われたみたいですね(^o^)/。 


私がフォローしていたり、私と繋がりのある方がフォローしていたりする方のつぶやきが流れてきました。 


その中で、 

ある方が「有名な理学療法士の先生が講演の中で『バビンスキー反射の評価は理学療法に役立たない』と言った。これは頂けない」とつぶやいていました。  


面白いな~と思って、私も乗っかって(?)書いてみることにしました。 


まず、背景として、

バビンスキー反射というのは、検査の一種で、錐体路という脳の中の道のどこかに障害があると異常な所見(陽性)が出るとされています。 錐体路は運動を司る道なので、麻痺がある人の多くは錐体外路の障害を持ってます(例外あり)。

検査風景


新生児は一般的に陽性で、脳が成熟してくる2歳位(?)になると正常な所見(陰性)になります。で、脳卒中などによって脳がダメージを受けると再び陽性になります。 



補足

ここからは少しだけややこしいです。必要なければ読み飛ばし可です。 

バビンスキー反射は人によっては、大人になっても異常所見(陽性)を示します。ですので、左右共に陽性であれば大人であっても異常所見とはみなされません。脳卒中になると通常は片方だけが麻痺(錐体路の障害)が出ます。そこで、左右差があって、障害されている側のみが陽性の場合、異常と考えられます。 

補足終わり



講演されていた有名な理学療法士は、脳のMRI画像を細かく見て脳卒中患者さんの病態を評価するということを提唱していらっしゃいます。 私達一般の理学療法士も脳の画像から「どの部位が障害を受けているか?」を見ますが、その先生は、脳のMRI画像から、脳の中で離れた位置にある部位Aと、別の部位Bをつなぐ経路まで想定して、 「その間の経路が障害されているから、部位Aと部位Bの連絡が上手くいかず、両方の症状が併存する(本来は同時に部位A、B障害による症状は併存しないはずなのに)」みたいなことを仰います。 

この話は、解剖学的には「あり得る」かも知れませんが、実際にMRIなどの画像を用いて証明されたデータはありません(寡聞にして私は聞いたことがありません)。 


講演を聞いていないのであくまで予想ですが、脳画像の重要性を説明する中で『バビンスキー反射の評価は理学療法に役立たない』と言って、その言葉を上記のつぶやきをした方にピックアップされてしまったんだと思います。 


そして、つぶやきをされた方が挙げていた「『バビンスキー反射の評価は理学療法に役立たない』と言った。これは頂けない」の理由として・・・・、 


①バビンスキー反射の評価は、病態解釈に必要だから 

②神経学的所見を取らずに構造画像だけを見て機能を考えるのはミスリードを引き起こしかねないから 


 とのことです。 

講師の偉い先生からしたら、「『構造画像だけ』なんて言ってないよ(怒)」とかいう話になりそうですが、この辺りは私はその場にいたわけではないので深く考えません(;'∀')。 


少し議論をシンプルにして、 

偉い先生「障害の予想に脳画像の知識が重要。バビンスキー反射の検査は重要じゃない。」

      ↓ 

TwitterのPT「それはおかしい。バビンスキー反射は病態理解に重要だ。重要な評価だ。」 

といった流れがあったと仮定して話を進めます。 


Q:バビンスキー反射の評価は脳卒中リハビリにとって重要か否か? 

 私のポジションは、タイトルの通り 

『脳卒中リハビリの評価にバビンスキー反射は必要ない』です。  



補足2 

ちなみに、私は元々、この偉い先生の提唱する理論に関して、非常に懐疑的です。 この偉い先生の講義を受けたこともありますし、著書などを拝読したこともありますが、解剖・生理学的には「あり得る」けど、患者さんを対象として研究(検証)がされていないです。また、エキスパートオピニオンに基づく治療法をさも高い確率で効果があるかのように理学療法士に講義するのを聞いて、「う~ん(*_*;」と思っていました。 ですが、バビンスキー反射の評価に関しては、この偉い先生寄りの意見です。 

補足2終わり 



偉い先生が私と同じ理由で『バビンスキー反射の評価は脳卒中リハビリに必要ない』と仰ったのかはわかりません。。。 ただ、私の考えは上記です。  



長くなりましたので次回に続きます。 

本題にたどり着きませんでした。。。。<m(__)m> 



今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。

 理学療法士 倉形裕史 


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