おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
これまで2回にわたって低炭水化物食に関する記事を書いています。
前回は、低炭水化物食の健康に対する長期効果に関して書きました。今回が最終回です。
今回は、比較的新しい検討点である
・炭水化物を脂質に置き換えた場合、その脂質の性質によって心臓病などのイベントは変化するか?
に関して書きます。
この点に関しては、日経メディカルオンライン2014.9.20の記事からの引用です。この記事も論文からの引用でなく、第50回欧州糖尿病学会(EASD2014、9月16~19日、ウィーン開催)で発表された内容がベースになってるので、情報の質はここまでの内容と比較してかなり劣ります。ただ、数年前の発表なので、もしかしたら現在は論文になっているかもしれません。私はこれ以上この話題に関して調べるモチベーションがないので、気になる方はご自身で調べて下さい。
以上をそれを踏まえた上で考えて頂けると幸いです。
以下にメディカルオンラインの記事の抜粋を添付します。
オランダUniversity Medical Center Utrechtの Marjo Campmans氏が、第50回欧州糖尿病学会(EASD2014、9月16~19日、ウィーン開催)で発表した。
Campmans氏らは、炭水化物を(1)総脂質、(2)飽和脂肪酸(SFAs)、(3)一価不飽和脂肪酸(MUFAs)、(4)多価不飽和脂肪酸(PUFAs)と置換した場合について、全死因死亡、心血管死亡リスク、5年間の体重変化との関連を検討した。
対象は、欧州の癌と栄養に関する前向きコホート研究(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition:EPIC)に含まれる2型糖尿病患者6192人とした。平均9.2年間のフォローアップ期間中に、791例が死亡し、そのうち心血管関連の疾患によって死亡したのは268例だった。
解析の結果、炭水化物10gを総脂質またはSFAsへ置き換えると、全死因死亡リスクが増加していた。一方、MUFAsに置き換えるとリスクは低下した。心血管関連死亡リスクは、炭水化物をSFAsまたはPUFAsに置換した場合に増加した。炭水化物を総脂質またはMUFAsに置換した場合、5年間で体重が減少していた。MUFAsは有意な減少だった。
これらの結果からCampmans氏は、「糖尿病患者において、炭水化物を総脂質やSFAs、PUFAsに置換すると、心血管関連の死亡リスクあるいは全死因死亡リスクが上昇した。一方、MUFAsへの置換は全死因死亡リスクの低減と関連した」
とのことでした。
今回のシリーズから示された内容も、やはりというか
『バランスのとれた食事でダイエットすることが重要』という結論に落ち着きます。
食事のバランスを変えるなど、新しい試みをすることは非常に素晴らしいことだと思います。ただ、現時点において、食事のバランスを変えるだけで摂取カロリーを減らさずに体重を減少させられるという魔法のダイエットはないようです。
私たちの職種は、患者さんや利用者さんに食事に関するアドバイスを求められることもあります。
ですので、科学的なデータを念頭において顧客指導にあたることは重要であると思います。
顧客に「食べたいものが食べられない」という我慢を強いて、その結果、追加の体重減少効果はなく、頑張って長期間続けた方は健康上の問題も生じやすくなってしまう。。。。
これでは、食事指導を行う人を信頼して、長期間にわたってついてきてくれる顧客ほど不利益を被りやすくなってしまいます( ;∀;)
どうか、自身の体験や一部の顧客での効果といった、優先度の乏しい根拠に惑わされることなく、顧客にとって真に有益な食事指導が行われますように<m(__)m>
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。
理学療法士 倉形裕史
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