おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
『システマティックレビューを読むのに、そこまでハイレベルな英語力はいらないのではないか?』という話をします。
システマティックレビューを読むのに必要な英語力は?
→結論は、
文法は、高校一年生レベル
単語は、高校卒業程度に加えて、関連する分野の専門的な単語
です。
今回、修士論文を書くにあたって、12,000編程度の論文をチェックした(タイトル、アブストラクトだけのチェックも含む)結果、この様に考えるようになりました。
少し詳しく書くと、 英文法に関しては、高校一年生レベル(関係代名詞、関係副詞)で、ごく簡単な分詞構文もたま~に見かけるかな、位の印象です。少し極端に言えば、単語の意味を前から順番に訳していくだけでも理解できます。また、少し複雑な文が現れても、立ち止まって文の構造を分析すれば(Sは何で、Vはこれでみたいなことを考える程度)、理解に困ることはほぼないです。もしも理解できない文が一つ二つあっても、英語論文の書き方は厳格なので(1パラグラフで1つのことしか言ってはいけないなど)、前後から内容を類推できます。以上から、高校一年生程度の文法でシステマティックレビューを読むことができると考えました。 80年代から90年代の始め位までは、ハイレベルな医学雑誌では少し高尚な表現も必要という風に言われていたようですが、現代の医学論文は、ノンネイティブスピーカーも意識して、より端的でシンプルな表現を使われるようになっているようです。考えてみればこの変化は必然です。英語で書かれた医学雑誌であっても、顧客(読者、著者)は圧倒的にノンネイティブが多いです。多数派の顧客の嗜好に合わせて商品の性質を変えるのは、当然といえると思います。
次に単語の知識です。 高校卒業程度プラス専門分野の単語という感じかと思います。 高校卒業程度の単語というのは、 『ターゲット1900』や『システム英単語』に載っている程度の標準的な単語です。一般向けの単語帳でいうと『DUO 3.0』程度でしょうか。日本の難関大学の入試問題を解くのに必要な更に難しい単語は必要ないかわりに、専門分野の単語が必要になるかと思います。 専門的な英単語といってもあまり恐れる必要はありません。 インターネットで調べれば、『アルク』などのweb siteでかなりカバーできますし、そもそもそのまま日本語でも使われている場合もあります。 英語のまま全ての概念が理解できればいいと思いますが、そうでない場合は、日本語に訳して、自分が今まで日本語で勉強してきた知識をフルに使って、英語論文を理解しても良いと思います。例えば、病名などは、英単語で見せられても全く分からなかったものが、日本語に訳すと、今までの知識で即理解できることなども多いです。
クラスメートのハンガリー人(英語が超できる)は、母国の言葉(ハンガリー語)では医学に関するボキャブラリーはあまりなく、『医学に関する単語は、英語では知っているけど、母国語では何と言うかわからない』と言っていました(;'∀')。
テストなど、知識を試す場では、母国語を介して医学知識を勉強したかは問われないので、やりやすい方で勉強すれば良いのではないかと思います。
多くの医学論文は、この位のレベルの英語で書かれています。このように考えると、英語論文を読むというハードルは少し下がるのではないかと思います。
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。
理学療法士 倉形裕史
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