読んだ本:マネーボール

こんばんは。理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。


 今日は、『マネーボール』という本に関して書きます。

 先日、読了しました。二回目です。 

ノンフィクションの類になるんでしょうか?おそらくちょっとした脚色は入っているんでしょうが、フィクションという程創作された話ではないかと思います。 


内容としては、ビリー・ビーンさんという大リーグのアスレチックスという球団のゼネラル・マネージャーが少ない資金をいかに効率的に使って選手を集めてチームを勝たせるか?というアプローチ描いています。 ノンフィクションですが、内容自体はまるで映画でも見ているかのようなワクワクする話です。 実際、ブラッド・ピッド主演で映画化もされましたし・・・・。 

ビリー・ビーンさんは、元々は将来を嘱望された才能ある野球選手でしたが、メンタルコントロールが苦手という欠点もあり、大成できないまま引退し、球団職員になります。そこで、データに基づいて選手を評価し、実際の能力よりも安く値段の付けられている選手を集めてリーグ戦でよい結果を出します。 


通常、選手全員の総年俸額とチームの成績は高い相関関係を示します。しかし、この手法の導入により、アスレチックスは“外れ値”のような存在になりました。 


私が考える、彼の凄い所は、自分の感覚を否定できるところです。多くの野球関係者、特に大リーグ経験者は、自分と似たプレーヤーだったり、従来の価値観に縛られた選手獲得戦略を採用しがちだそうです(同じような戦略をとれば、当然資金力に勝る方が良い結果を出します)。


『データやエビデンス』と『自身の直感』が矛盾する時、自身の直感を躊躇なく採用する人が多いです。『そんなわけあるか!!』と。特にスポーツ界でそれは顕著で、当時の大リーグのスカウト達は「実際に試合でその選手がプレーしている所をみればわかる」と主張していたそうです。数試合見るだけで、将来性も含めて予測できるとのことです。。。。 

キチンとその結果が検証されないため、そのようなスカウト方法の成功例ばかりが記憶に残り、長い間改められることなく続いていたようです。 


本の中で、なるほどな~と思わされた記述がありまして、少し長いのですが引用します。


 三割の打者と二割七分五厘の打者を目で見るだけで区別することは絶対にできない。なにしろ、二週間でヒット一本の差しかない。シーズンを通じてそのチームの全試合を見ているスポーツ記者なら、ひょっとすると何か違いを感じ取れるかもしれないが、おそらく不可能だろう。10試合に1試合見る程度の平均的な野球ファンは、むろん、そんな微妙な差を見極められるはずがない。事実、もし年間15試合観戦するとすれば、目の前でたまたま二割七分五厘の打者が三割打者より多くヒットを打つ確率が40%もある。要するに、優れた打者と平均的な打者の違いは、目に見えない。違いはデータの中だけにある。          (マネーボールより引用) 



ということです。 ビリー・ビーンさんは、自身のことを『このようなアプローチの対極に位置する人間』と評価しています。ですので、試合を直接もしくはTVで観戦しないそうです。もし観戦してしまうと自分の流儀(直感的なアプローチ)でチーム編成を行いたくなってしまうからだそうです。

そのような特性を持ちながらも、データを尊重し、上記のようなアプローチを徹底する知性だったり、謙虚さは非常に凄いです。



 これって、リハビリ専門職で例えると、『リハビリ中に腰痛患者の姿勢に関して、非常にそれらしい問題(例:骨盤が過度に前傾している)に気が付いた。でも、エビデンスでは骨盤のアライメントと腰痛の関連は否定されているので、とりあえずそこは置いておいて、エビデンスベースのリハを提供する』みたいな感じです。 


・・・・結局いつもの倉形の主張の繰り返しになってしまいますが・・・(*_*; 


凄い徹底ぶりだなと思いますし、その位、真摯にエビデンスを扱う姿勢が大切だなというのが全体を通じた感想です。

なぜかというと、私たちはある一定の条件下では簡単に騙されてしまうからです。

 関連する記事は下記です。



 今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございました。

  理学療法士 倉形裕史

Evidence Based Physical Therapy - 理学療法士 倉形裕史のページ

キャリアゴールは『日本を含む全アジア地域で、全てのリハビリ対象者が適切な価格でエビデンスベースドのリハビリにアクセスできる社会を実現する』ことです。 ゴール達成のために、勉強したことをシェアしたり、同じような活動をしている方とコミュニケーションをとることを目的にサイトを作ってみました。 ゴールやそこまでの道のりが少しでも被る方は、是非一緒に何かやりましょう。

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